冷徹貴公子の依頼

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「キッカケはね、薫の一言が原因だったんだけどね。元々は、薫と成瀬のいざこざだったのに、どういう訳か、成瀬の師匠がしゃしゃり出てきちゃってさ。そんでもって、余計に話が拗れて、気が付けば師匠が薫をクラシック界から締め出しちゃってたんだよね。ほんと、訳が分かんないよねー。お前、関係ないだろって感じ?」 そんな事があったんだ……。 ペラペラと流暢に喋っていた三國さんが、見下すような、馬鹿にするような表情で笑みを浮かべた。 「まあ、どうせ?成瀬が告げ口でもしたんだろうけど、フェアじゃないよね」 そう言った時の三國さんの目は、剣呑な光を宿していた。 顔は笑ってるけど、目からは怒りしか感じられない。 でも……。 本当に、成瀬さんが告げ口したんだろうか? ……そんな人には見えなかったけどな。 「そんな感じだからさ、薫としては、成瀬なんかに、奏ちゃんは関わって欲しくなかったんじゃないかな。弟子思いの怖い人もバックについてるだろうから、なんかあったら、自分の二の舞になるかもしれないってね」 心配……してくれてたんだ……あれでも一応…。 すごく分かりにくいけど。
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