冷徹貴公子の依頼

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それなら、そう言ってくれればいいのに。 いつも、月山薫からは何も話してくれない。 こうして、違う誰かから真相を聞いてばかりだ。 俺…そんなに信用ない? 頼りないのかな…。 あいつにとって、俺って存在は、一体なんなんだろう。 肝心な事は、何も話してくれない。 何でも話せとか、逐一報告しろとか、そういう事じゃなくて、肝心な…大切な事は話して欲しい。 何も話してくれないから、不安になる…。 自信がなくなる…。 俺、本当に、あいつの恋人なんだろうか…。 「どうするか決めるのは奏ちゃんだけど、薫と一緒で、俺も止めておいた方がいいと思うけどな?」 シュンとした俺の顔を覗き込む三國さんに、曖昧な笑みを返す。 「まあ、何かあったら、直ぐに薫に言いな?」 そう言って、三國さんは俺の頭を二度ほど、撫でるように叩いた。 「俺に相談してくれても、全然構わないからね?寧ろ、大歓迎的な?二十四時間、いつでも受付ちゃうよ」 「…………」 …………これが無ければな。 いつものかっるい調子に戻った三國さんに、思わず白い目を向けてしまった…。
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