冷徹貴公子の依頼

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*冷徹貴公子の依頼・4* 「……………ここで、するんですか?」 成瀬さんに連絡して、会う約束を取り付けた。 勿論、正式に断るつもりでだ。 待ち合わせは、大学近くの電車の駅前。 待ち合わせ時間に現れた成瀬さんは、以前のようにいきなり俺の手を掴んで、戸惑う俺を無視して、タクシーの中へと俺を押し込んだ。 そうして辿り着いたのは、何処かの施設だった。 つまり、訳も分からず、強制的に見知らぬ場所に連れてこられた……。 ……この人が、こういう性格だって忘れてた。 察しろ精神。 そして、自己完結で行動されるから、振り回される側としては、毎度、訳が分からないままに事態が動かされてる。 今回も、まさにソレだった…。 ここがどこかも説明しないまま、成瀬さんは施設の受付のような所まで行くと、そこにいた少し年配の男性と何やら話をしてから、その人から、この施設の何処かの鍵と思われる物を受け取った。 そして、また何も説明しないままに、俺を何処かへと連れて行く。 そうして辿り着いた場所は、施設内にある少し大きめな体育館のような場所だった。 そこに俺を引き摺るようにして連れて来た成瀬さんは、少し嬉しそうな表情で、『ここで演奏会をするんだ』と、初めての説明を俺にした。
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