冷徹貴公子の依頼

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大体、あんな話を聞かせたら、相手が断りにくくなるとか、考えないんだろうか…。 計算? これ全部、計算なのか? 「ん?どうした」 不思議そうな顔をして、何も話さない俺を見る成瀬さん。 これが演技とは、到底思えない。 ……あぁ、そうか……この人…。 そうして、俺は、ある可能性に辿り着いた。 天然なんだ……。 ガックリと項垂れそうになる。 諸々ありはするものの、根っこの部分に天然要素があるんだ。 ただ、高慢そうな態度と、気品ある見た目から、分かりにくいだけで。 そこに、察しろ精神がプラスされて、物凄くタチの悪い状態が出来上がってるんだな…。 あんな物言いで、傲慢とも取れる行動で、誰も気付かないんだ…。 この人が、天然って。 物凄く、勘違いされやすい人の典型的なタイプかもしれない。 しまったな……。 天然だと分かっていれば、前もって対策とか考えておいたのに…。 先に、断る事を前提に話をしておけばよかった。 後の祭り。 後悔先に立たず。 今更思っても、もう遅い。 「……あの、そんな大切な演奏会を、俺なんかが監修出来るなんて、思えないんですけど…」
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