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「そんな事はない。君以外、考えられないから、君に仕事を頼んだんだ」
「……でも、自信がないっていうか」
「君は、もっと自分に自信を持つべきだ。君の才能は、俺が保証している」
「……監修なんて、やった事ないですし」
「誰にでも、最初はある」
「……」
次々と逃げ道を塞がれて、もう返す言葉が見つからない…。
しかも、俺の心情なんて、全然気付いてない…。
その上……。
「君なら、大丈夫だ」
なんて、逆に励まされてるし……。
優しい笑顔を向けられて、どうすればいいのか、必死に頭の中で考える。
断って、月山薫に謝る。
断って、月山薫に謝る。
断って、月山薫に謝る。
当初の予定を念仏のように心の中で唱え、頷きそうになるのを、ギリギリ我慢する。
さあ!
ここで断るんだ!
大切な演奏会なんだ。
俺じゃない方が、結果的には成瀬さんにとっても良い筈だ。
月山薫とだって、仲直りするって決めただろ。
それに、ほら、あれだ。
この人の師匠は、月山薫をクラシック界から追放したんだ。
それを忘れるな、俺!
「あ、あの!!」
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