第1章

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 ****  夕方、私たちは解散して、それぞれの家路についた。  朋美ちゃんのリボンを見た時、思い出したことがある。  小学校の時に、私がハブにされた理由だ。  当時、私は、髪形をツインテールにしていた。  髪を結うリボンを新調した時、リーダー格の子のリボンと、色が被ってしまって、「真似っ子だ」とイチャモンをつけられたのが始めだった。  それがきっかけで、リボンをつけない、今のようなストレートの髪型に変えたんだった。  帰宅。あれ? 机の上にはコンビニ弁当が並んでいた。 「おお、帰ったか。おかえり」と、父が降りてきて言った。 「今日はどうしたの? 仕事終わるの早いじゃん」 「お母さんが風邪でな、ノー残業で帰ってきた」と、父は顎を引いて応えた。 「そうなの?! その……、お母さん、大丈夫?」 「今日はもう寝てる。本当に熱で苦しい時は、眠ることもできないからな。『寝てる』ってことは、もう大丈夫なんだろう」  今朝、家の中が不自然なほど「静か」に感じたのは、母の生活音が無かったからだったのだ。  それでも「行ってらっしゃい」と言ってくれた。起きていたんだ。もしかしたら、熱にうかされて眠れなかったのかもしれない。  どうしよう、お粥でも作ろうか?  そう言えば、お粥の作り方を教えてもらった頃は、反抗期なんて想像もつかないほど、母にべったりだったっけ。  どうして、いつから母への反抗心が芽生えたんだったか。それも、今日なら思い出せそうな気がした。
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