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相当いい思い出じゃなかったのか、それ以上忍さんの口から話すことは何もなかった。
ただ、言ってもらえて嬉しかったのは
「とにかく早く家に帰りたかった」
と言ってくれたのは本当に嬉しかったけど。
忍さんの素直な表情で伝わってきた。
あぁ、そういう場所は苦手なんだなって。
でも、そうかもしれない。
真面目で真っ直ぐな人だ、忍さんは。
初めて私が彼の家に泊まった時でも、何もしてこなかった人だし...
「疲れました。今日は...」
「ふふ...」
笑う私の肩にコツンと額をつける。
お風呂上りで濡れた髪の毛が私の頬にあたり、冷たかった。
「忍さん、髪乾かさなきゃ。
ちょっと待ってて下さい」
彼の肩を掴んで離した後、私はドライヤーを取りに洗面所へと向かった。
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