sweet.1

5/42
前へ
/476ページ
次へ
瞑っていた目をパチリと開けると、彼は首を傾けていて、少し目にかかっている前髪がさらりと横に揺れた。 その間から私を慈しむように見つめてくれる、優しくて穏やかな瞳。 少し疲労がみえる所が艶っぽく思えてしまった。 ………いけない、いけない。 忍さんは仕事で疲れているというのに、邪な事を考えてしまった。 こういう時こそ、奥さんの私が癒してあげなければ。 「忍さん、お疲れですよね? 先にご飯ですか?お風呂にします?」 それとも私…なんてベタな事は言わないけれど。 「そうですね…」 腕を組んで忍さんは少し考える素振りを見せると、私の両肩に手を乗せた。 「もう少しだけ癒されたいかな?」 と言って、私をぎゅうっと抱きしめた。
/476ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3669人が本棚に入れています
本棚に追加