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「すみません!」
慌てて離れようと背中を仰け反った。
すると部長は、片手で私の肩を掴み、そのまま自分の胸に私の身体を引き寄せた。
心臓の音が聞こえる。
速いリズムで鳴るこの音は、私の心臓か、それとも……。
「……部長?」
恐る恐る名前を呼ぶ。
嫌なわけでは決してない。
でも、どうしてこんな体勢のままでいるのか聞かずにはいられなかった。
けれど部長は何も答えない。
雨音と心臓の音だけが耳に届く。
部長は胸に私を引き寄せたまま、空いている方の手で自分のシートベルトを外し、そのまま助手席のレバーに手を回してシートを倒した。
そして、私を助手席のシートに仰向けに寝かせ、組み敷いた。
部長は私を見下ろしたまま何も話さない。
鳴り止まない雨音が、車内に響き渡っている。
部長の顔が私に近付いて来ると、ギシリと音がして助手席が軋んだ。
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