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「はぁ…。
数学だ、持ってきな。」
「了解しました。」
クスクスと笑いながら、自室らしき部屋へと消えていく。
その後ろ姿が消え去って、自然と深い溜息を吐いてしまった。
湯気をもうもうとあげているコーヒーを手に取り、一口。
独特の苦みと酸味が口いっぱいに広がり寝不足のみの身体に染み渡っていくような気がする。
はぁ。
今度は安堵の溜息。
黒く光を反射するその水面は見ていて落ち着く。
「…遅いな。」
つい呟く。
実際にはそんなに経っているわけではないが勉強道具を持って来るだけにしては遅すぎるくらいだろう。
ガサガサという音がかすかに聞こえてくるほか物音はしない。
あーダメだ、眠い。
待ってるだけがこんなにも、眠気を誘うものとは。
「先生、持ってきまs………。」
尭無が戻ってきたようだが、まるで水のなかにいるかのように声がぼやけて聞こえる。
起きなきゃ、と思うのとは逆らって体は重く、瞼も下がっていく。
…何しに、来たんだっけなぁ……?
くすり、と笑う声がかすかに聞こえた。
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