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椅子の背にはネクタイとスーツがかけてあり、椅子には俺の持っていた鞄が置いてあった。
ネクタイを鞄に突っ込んで、俺は椅子にかける。
一回部屋帰って着替えるか、何て下らないことが頭をよぎった。
ほどなくしてやはりコーヒーの香りがしてきた。
「はい。」
コトリ、と音をたててマグカップが置かれたが、手に取る気にはなれない。
「で、尭無。
一応まだ時間はあるっぽいし、話を聞かせてくれるな?」
尭無も座ったのを確認してそう切り出すと、さもその問いを待っていたとばかりに嬉しそうに笑った。
俺が言い出すのが予想がついてて、それを楽しみにしてたのか?
上機嫌な理由はこれか。
嫌な趣味してやがる。
「そうですねぇ、じゃあ質問してください。
私がそれに答えます。」
俺が質問か。
要するに俺の思考回路によっては最悪なこの状況から抜け出せるってか。
俺が黙り込んだのを見てもニコニコと笑顔は変わらない。
楽しんでんなぁ。
しゃーねぇ、付き合ってやるか。
「じゃあ確認からだ。
昨日のあれ、援交で間違いないな?」
こくり、と高梨は視線をそらさずにゆっくり頷いた。
尋問大会が始まった。
時間はまだまだある、ゆっくり楽しもうかぁ。
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