第一章

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閉じた瞼の裏から光が透け入ってくる。 朝、か・・・。 まだ眠いけれども今日も学校あるし。 むくり、と起き上がれば肩の上をシーツがサラリと落ちた。 予想外のくすぐったさに身を揺すると、ふと私の隣で眠る男が目に入った。 シーツから少し出ている黒髪が少し動いく。 「うん?」 少し唸って、その目を覗かせたるも、眩しそうに目を細め焦点はあってない。 しばらく私を見ていた彼は、ランプテーブルの上に置いてある眼鏡を手に取り掛けた。 再び私に目を向ける彼。 私はにっこり笑って朝の挨拶をする。 「おはようございます、先生。」 「たか、なし?」 寝起きの少し掠れた声。 低いその声で名前を呼ばれて、なんだか少しくすぐったい。 彼はまるで理解できないとでも言うようにかぶりを振った。 ちらり、と壁の時計を見て時間を確認。 先生が学校に着かなきゃいけないのは8時。 此所から学校まで先生は車で30分。 私と先生がシャワーを浴びて1時間ちょっと。 現在時刻は4時30分。 うん、まだ平気ね。 「もう少し寝ててくださいね、シャワー浴びてきます。」 やがて理解し、見開かれていく目には気づかないフリ。 「尭無、おいっ。」 私を呼ぶ声も、聞こえないフリ。 先生、かわいい。 大丈夫、私が上がる頃にはことの経緯は思い出してるはずよ。 一糸纏わぬ素肌を、暖かくなり始めたこの季節の早朝の空気が撫でた。
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