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顔を上げ、さっきの生徒を確認すると、一人の小太りのオッサンに声をかけられていた。
おいおい…。
見失わないように急ぎ足で傍による。
あの子、名前何だったかな。
「おい。」
声をかけると、オッサンか小さく肩を震わせ、女子は優雅に振り返った。
思い出した。
今年から転校してきた有名人。
文武両道、容姿端麗、頭脳明晰、品行方正、才色兼備そんな感じの女子。
名前は確か『尭無結那(タカナシユイナ)』。
俺は彼女の授業持ったことないから、話すのは初めてだ。
「あら、鴻上先生。」
「せ、先生?」
男は目をキョロキョロと忙しなく動かして落ち着きがない。
それに比べると女子の落ち着き用には異常さを感じる。
てか、よく俺の名前知ってんな。
「おじ様、また今度にいたしましょう。
今日はごめんなさい。」
俺を無視してオッサンに話かける尭無。
コクコクト頷き走り去って行くオッサン。
だからさぁ、
「教師の俺の前で堂々とそういうのやめてくんない?」
「先生ごめんなさい。」
少しも詫びている気がしない。
ふふ、と笑って謝罪の言葉を口にした。
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