第一章

6/15

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
………ちょっと待て。 「お前此所に住んでんのか?」 「…? そうですけど?」 俺ん家とおんなじかよ。 なんも言わずにマンションの駐車場まで入っていき、自分の振り分けられた番号にとめる。 「先生、このマンションに住んでるんですか?」 「ああ。」 ぶっきらぼうに答えてしまったけど気にしてないようで、ふふ、と何が可笑しいのか尭無は笑ってるし。 「ほら、降りろ。」 なに笑ってんだ、という意味を込めて少し睨むもまったく気にしないご様子。 尭無はくふふっていまだに笑い続けながら車から降りていった。 俺も後を追うように車を降りた。 「部屋まで送るわ。」 ご両親に少しくらいなら弁解してやろう。 あと、自分の部屋知られたくないし。 「そうですね、お願いします。」 遠慮なしかよ。 いや、断られても困るけどさぁ。 スタスタと歩きだしてしまった尭無を追いかけてエレベーターに乗り込む。 「どうぞ、お上がりくださいな。」 表札もないその扉の鍵を開けて、彼女はそう言った。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加