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………ちょっと待て。
「お前此所に住んでんのか?」
「…?
そうですけど?」
俺ん家とおんなじかよ。
なんも言わずにマンションの駐車場まで入っていき、自分の振り分けられた番号にとめる。
「先生、このマンションに住んでるんですか?」
「ああ。」
ぶっきらぼうに答えてしまったけど気にしてないようで、ふふ、と何が可笑しいのか尭無は笑ってるし。
「ほら、降りろ。」
なに笑ってんだ、という意味を込めて少し睨むもまったく気にしないご様子。
尭無はくふふっていまだに笑い続けながら車から降りていった。
俺も後を追うように車を降りた。
「部屋まで送るわ。」
ご両親に少しくらいなら弁解してやろう。
あと、自分の部屋知られたくないし。
「そうですね、お願いします。」
遠慮なしかよ。
いや、断られても困るけどさぁ。
スタスタと歩きだしてしまった尭無を追いかけてエレベーターに乗り込む。
「どうぞ、お上がりくださいな。」
表札もないその扉の鍵を開けて、彼女はそう言った。
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