【出会いの香り】

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近くで見ると、鼻筋が通ってかなり綺麗な顔立ちをしている。 一瞬、女かと思ったが今の低音は女の声じゃない。 「・・・」何でと聞かれても理由が見つからず、黙っていると 「雨なのによくわかったな。まぁいい。どうせまた会う事になるからな。」 と言いながらゆっくりと向きを変え、さっきオレが来た方向へ歩き出した。 顔が整いすぎて年齢がよくわからないが、オレよりは少し年上だろうか。 しばらくボーっとしていたせいで、振り返るともうソイツの姿はなかった。 懐かしいような”香り”だけがまだオレの鼻先を舞っていた。
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