香りの記憶

【出会いの香り】

今日は朝から快晴だったが、昨日の雨で制服が無残な姿になっていて
母親にアイロンで何とか乾かしてもらった。

遅刻ギリギリで教室に滑り込むと
後ろの席の結衣がオレのイスをコンコンと蹴り上げる。

「寝坊？」

「そんなんじゃねーよ。」

「今日、転校生来るって。」

「こんな時期に？」

「そんなのどんな時期だって転校ぐらいするでしょ。」

「･･･まぁな。女か？」

「知らな～い。ワタシはイケメンがいいな～。あっ来た。」

ガラッと扉が開いて担任 杉野のハゲ頭が入って来る。

その後ろからスラリとした･･･昨夜の男が入って来た。