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森を出てから少し歩いて。 ずっとずっと先まで続く、灰色の砂地。 見渡す限り草も花も色もない景色なのに、不思議と寂しいとか悲しいとか、暗い気持ちにはならなかった。 辺りは既に暗くなり始めていた。 『星は月のない夜にしか実をつけない。無月夜は一年に一度だけ』 蟹の住処では時計も走る。 少し余裕を持って出発したのに、もたもたしていたら夜が明けてしまいそうで。 「急がなくちゃ」 遠く遠く、ぼんやり震える大きな影。 きっと、あれが。
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