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動かない足。
もう駄目だと、もう死ぬんだと思った。
……その時。
「……」
「ひか、り」
「──ひかりょ、ひかりよ」
初めて蟹の言葉を理解出来た。
頭上で輝く木の枝。
白い光が、まるで果実のように。
「ひかり」
「ほし、ほし、ほし」
「ぼくらのひかりよ」
それは大きく膨らみ、やがてふわりと落ちてきた。
色鮮やかな蟹たちは器用にその実を受け止めて、一匹、また一匹と灰色の中に。
「ぼくらのひかり」
「わたしたちのほしだ」
「きみ、も。きみのほしも」
少し大きな鈍銀色の蟹が、確かに僕を見てそう言った。
ゆっくりと、静かに僕の手の中に落ちてくる星の果実。
「……」
本当に星のよう。
世界中の宝石を集めたって勝てやしない。
これがあれば、ミテイを。
「あ、あの」
顔を上げたら、もうそこには誰もいなかった。
空は少しずつ明るくなってきていて、白い枝は寂しく揺れていて。
何処までも広がる砂地は、何処までも灰色で。
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