第1章

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とりあえず出掛けて引き返す。 手持ちの金を全部持って行こう。 病院ならお金が必要だろうし、何が要るかわからないから。 クローゼットの中の金庫を開けて、 とりあえず置いている現金を出す。 これは… あまり表に出したくない金。 いざというときに現金を掴ませて使えるものは使おうというときのための… 小さめのバッグに入れて、飛び出す。 エアコンは消したっけ…とか、 車に乗って思ったけど、そんなことは今はいい。 頑張れ!麻美! すぐに行くから。 そういいながら店に着く。 階段を一気に上って事務所のドアを開ける。 笹本がそれに気づき、 「どうされたんですか? 加賀見、なにか問題でも?」 そうじゃない。 「頼みがある。 ジュリアさん、ここに呼んできてくれないか? 至急に…」 あ、はい…と、 店の方に姿を消してすぐに彼女を連れてくる。 「何かご用でしょうか…」 「あなたが匿っていたんですね…」 今そんなことはどうでもいいのに。
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