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オレ達が屋上からの階段を降り。
とりあえず教室へと戻っている途中だった。
校内に残っていただろう生徒数名が、大きな声で騒いでいる。
「犬だっ!!。犬が校舎に入ってきたっ!!。」
「ちょっと~!先生呼んできてっ!!。
先生っ!!。」
おそらくは教職員棟の方だろうか?。
遠くから微かにそう声が聞こえる。
それにしても、学校内に犬が入ってくると妙に盛り上がる事ってあるよな?。
今回もそんな感じで、妙に盛り上がるかなっと思ったが…。
オレの考えは甘かった…。
「イャ~~~~~~!!!。」
「助けて~~~~~~!!。」
先程と同じ方角から、女生徒や男子生徒の悲鳴が聞こえた。
どうも様子がおかしい…。
「何だろうね?。
様子見に行ってみる?ケイ?。」
「別に行かなくて良いだろ?。
たかが犬が入ってきた位で…。
どっかのバカなヤツが、犬を撫でようとして噛まれたんだろ?。」
そうマサキに返事を返した時だ。
オレ達の目の前、3年生の校舎とオレ達の居る校舎を繋ぐ渡り廊下から、突如として人が現れて、こちらに気付くなりこっちへ走って来た。
体育教師の山崎フジオだ。
息咳き切らせ、ヒューヒュー言いながら走ってくるが、様子が明らかにおかしい。
オレ達の方へと近づいて来るにしたがって、その理由が分かった。
普段着慣れてる白のジャージは前掛けのように血で汚れ…。
左手の袖はちぎったかのように破れ、腕の肉が一部分えぐれて、そこから血をダラダラ流している。
右手で傷口を押さえさせなきゃと思ったが、その右手はのど笛の部分を既に押さえていた。
体育教師が走るたびに右手の指の隙間から、血がピュッピュッと溢れ出している。
さっきからヒューヒューと聞こえていたのは、おそらく息をする度にのど笛の部分から空気が漏れるのだろう…。
体育教師の山崎フジオは、苦悶の表情で左手を必死に上げ、オレ達に声にならない声をあげる。
「だっ!。頼む、だずげでっ!!。」
オレ達に助けを求める言葉も言え終えないウチに、自らの血で滑り、力無く倒れる。
「えっ?。何々?。どうしたの?。」
「何かあった~?。」
教室に残って居たのか生徒数名が各々の教室から顔を出すが…。
まだ何が起こっているのか、把握出来ていないようだ。
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