第10章~ひな祭りに~(冬の華編)

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「そうやって、我慢してたんだ?」 【………っ……】 陽菜はもぅ何も云わない。ただ涙しているだけで、好きにしてくれたら良い。その為に自分がここに居るのに、なんで今更変な事聞いてくるの?何も気にしないでしたら良いのに!という表情を浮かべている。 「……ずっと‥‥ごめん!」 それがたまらなくて、ユキは陽菜を胸に抱き寄せたが、直後、小さな悲鳴をあげられて離してみると、数分前の脱がし合いで互いの肌が露にされた箇所と箇所が触れ合った事に驚いた為あげてしまったモノらしいと知る。 「はははっ。」 昨夜まで一緒に風呂に入っていたというのに、見えない所が急に成長するとは、こんなに厄介なものなんだな。と、しみじみ思いながら可笑しくて吹き出してしまったユキは自ら残りのボタンを外すとブラウスを放り、彼の背中のファスナーも全開にさせて腰までを露にさせた。 「一つ、忠告してあげる」 そして素肌と素肌を密着させ、互いの心音がリアルに伝わる程ピッタリ重なった距離で囁く。 「素直に話した方が身の為。でないと困るのは陽菜だ。」 【…‥‥】 「以上。」 それだけ云うと額や頬、唇に口づけて来て、された事と同じ事を自分にもするようにと妖しく笑う。 【でも私は…】 「僕だって陽菜にはされたいんだ。」 どうせ最後までするんなら自分も究極まで煽られてから思う存分味わいたいと云って誘惑、誘導してくるので恥ずかしさと緊張で死にそうなのを我慢して渋々要求に従うと、それは次に次にと進む毎にエスカレートしていき、まだどちらも上半身を曝しているだけだと云うのに、陽菜の方はすっかり限界ギリギリになってしまう。
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