なんでもない現代の日常

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隠れたアンティークショップ 『リバーアイ』 ふと棚を見ると昨日までは置いてなかった古い石像が飾ってあるのが見えた 20cm位の精巧な作りの男性の石像だ かなり磨かれた黒曜石で出来ているのか吸い込まれそうな漆黒 数あるアンティークの中で、この石像だけが不思議な空気を纏っている 暫く魅入っていたが、何かに惹かれる様に石像を手に取ると… 「気に入ったかい?昨日倉庫を整理してたら出てきたんだ」 後ろから心地よいアルトボイスが聞こえ、心臓の鼓動が少し早くなるのを感じる 声の方を向くと30代半ばの優しそうな男性が私を見てニコニコしていた。 この店の店長だ 最近は雑貨よりも、このアルトボイスの為に通っていると言っても過言ではない。 本棚の陰からミハルが此方の様子を見ながらニヤニヤしているのが気に入らないが… 「キ、綺麗な…石、像…です…ね」 辿々しい私を見ながら腹をかかえて笑うミハル 自慢じゃないが女子校育ちの私は兄以外の男性とは会話をした事がないのだが… ……何か? 「一言話すだけで膝震えてるし♪声もプルプル♪ツムたん可愛すぎる♪……グフッぇ♪」 素早く手元にあった石像を振りかぶりメジャーリーガー顔負けのレーザービームがミハルの額を貫いた コントロールには自信があるのだ 「紬希ちゃん、商品は大事に扱ってね」 気絶するミハルの額から石像を抜きながら優しく叱ってくれる店長さん 怒られちゃった… 紬希ちゃん…だって……素敵な声で名前呼ばれてしまった…ムフフ 思春期特有の御馬鹿な悦に浸っていると… ミハルの血が付いた石像を拭きながら店長さんが紙包装を持ってきた。 「随分気に入ってたみたいだし、いつもこんな店に足を運んでくれてるからね、もし良かったら、その石像はプレゼントするよ」 店長の笑顔が眩しい 萌えすぎて何か漏れた…… 血塗れの壊れたスピーカーとプレゼントされた石像を荷台に積んで帰路を走り出す 夢心地の帰り道… …良い1日…ムフフフ
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