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#佐藤 美春(サトウ ミハル)
「ふふふ、私は知ってしまった♪まさかツムたんも、あんなに素晴らしい腹筋を持っていたとは♪灯台もと暗し♪この際男女とか関係ないよね♪」
自室でドラマを見てると称して密かに進めていた隣の壁への工作、まさか壁から侵入してくるとは思って居ないはず
今日こそは、あの腹筋に一泡吹かせてくれるわ
そーっと改造した壁をズラしツムギの部屋の中を覗くと………
…………虎だ
酔っ払ったツムたんが虎の様に豹変した?
いや……………虎だ、そして森だ
「誰だ…貴様は?」
虎の口から聞こえてくる
そーっと壁を閉めようと……って…壁…無いし…
「なんだ?口が聞けないのか?」
四つん這いの格好で後ろを振り向くと、土産で貰った木彫りの熊が不気味に光り部屋と共に消えていった様な気がした……いや、それどころじゃない
虎は、のそりと立ち上がりミハルの首根っこを掴んで持ち上げ匂いを嗅ぐ
「知らない臭いだ、接近に気が付かなかった、何故だ…」
虎から足と手がトランスフォーム!?
リアルタイガーマスク!?鉄拳のキング!?
ここは何処?部屋は何処?
私食べらちゃう!?
あっ………!?
「ムっ……小便を漏らしたか、俺が恐いのか?」
近くの小川に投げ捨てられるミハル
ジャブジャブされて再び………
「何故?俺の家に居るんだ?山の魔女の手先か?」
………あなたはだ~れ?
「……………なんなんだ。貴様は?」
無言で固まるミハルを藁のベッドに捨て、石の椅子に腰掛ける虎
「………まぁ非常食にはなるか…」
藁に突っ込まれて動けない
冷たく濡れた身体の股間部分だけ再度温かくなる事を感じながら意識は宙をさまよっていく………
[なんでもない現代の日常] [完 ]
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