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「よう」
カウンターの近くの席に、彼女が本を読んでいた。
「こんにちは」
彼女はそれだけ言って、本に目線を戻した。
気にせずに図書館の奥に行き、 本を探しに行く。
数分後、本を借りて席につく。
同時に彼女が本を閉じた。
「なに読んでたんだ?」
「この前最後の方に話していたの」
「ああ、あの医者が主人公の推理小説か。どこまでいった?」
「まだ、三件目の殺人事件」
読んでいない本は触りだけしか話さない。
二人とも読んだら感想を言い合う。
そんないつもの会話。
「それより、前回薦めたの読んだ?」
「読んだけど、どうも終わりが気に入らないな」
「やっぱり、主人公がヒロインの全てを受け入れるとこ?」
「そこ。ヒロインが明らかにやりすぎなのに、主人公が受け入れるのはおかしいと思う」
「そう」
彼女の目の色が少しだけ変わった気がした。
「狂おしいほど愛されるのは嫌い?」
「そこは嫌いじゃないけど、主人公の性格の問題だな」
「主人公のほう?」
「ああ。あんなにチャラチャラした性格なのに、すぐに受け入れるのが気に入らない。もっと固い男だったら良い終わり方なんだけど」
「そう」
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