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「おはようございます」
「先生!おはよう!」
「おはようございます」
僕より数段早く家を出た筈なのに、今頃になって登場するなんて。また、走り出しました、心臓……。よくこんなに動いて平気だな、とつくづく思うよ。どんだけ頑丈な筋肉な訳?
毎日、1秒足りとも動かない瞬間はないんでしょ?
しかも急にスピード変えたりするってさぁ、どうやったらそんな器用な事が勝手に出来るの?
僕の腕にくっついていた梅田さんとの間を少しだけ開ける。
「おはようございます、朝から楽しそうですね」
3段だけある階段を下りて真っ直ぐにこっちへ向かってくる先生は麗しくて、梅田さんは早くも釘付けになっている。
分かるよ、梅田さん。綺麗だろ?きっとキミの心臓も僕ほどじゃないけど、速いのかもしれない。
「いつも仲がいいんですね」
僕と梅田さんを視界に入れながら、千恵さんにス、と何かの本を差し入れする。
「せんせー、今日も素敵ですぅ」
「有難う御座います」
梅田さんが羨ましい。そんな事をなんの抵抗もなくすんなりと口に出来る事が。
「おはようございます」
「おはよう、門倉君」
目の前を通り過ぎて行く先生の後ろ姿を見ながら僕は速すぎてどうしようもない心臓を落ち着けるために、静かに呼吸を整えた。
「今度、門倉君家、泊まらせて!」
「え?」
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