第0章

2/4
15665人が本棚に入れています
本棚に追加
/562ページ
試験管の中に入った液体は無色透明 たぶん、たぷん、と揺れる度 白衣を着た先生の笑みが濃くなるようだ。 「毎日ちゃんと綺麗にしてるんだな、感心」 試験管の中を覗きながら 先生は嬉しそうに呟いた。 「先生」 「なに?門倉(カドクラ)君」 「何時までこうしていれば?」 「ああ、いつまでにしようか? あんまり力を入れると、中で割れちゃうよ? 門倉君」 だから平静を装っていたのに 次の瞬間、楽しそうに本当に楽しそうに 口角をあげた先生が 僕の、どうしようもなく 餓えて、我慢ができないソソリを握り締めた。
/562ページ

最初のコメントを投稿しよう!