第9章

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もう、決めたんだ。 哲ちゃんに伝えた時は揺るがない覚悟だった。哲ちゃんは顔色も声色も変えずにただ、そうか、と言っただけだった。 親にもまだ伝えてはいない事を、一番先に哲ちゃんに言ったのには、理由があった。 哲ちゃんは僕を甘やかさない。 いつも厳しいセリフを投げてくれる。 だから。 「のたれ死にすっかもな」 「うん、それも、いい経験だよ」 つい先日、ボロボロになって帰ってきた僕に一言も追求しなかった哲ちゃん。ただ、連絡くらいしろ、とそう言って何も深くは追わないでいてくれた。 この人は、僕をどうにでもできるのに、ただの一度もどうにもしなかった。 だから、やっぱり哲ちゃんは僕にとったら哲ちゃんのままだったんだ。 「あー、無理やりでもヤッとけばよかった」 哲ちゃんは笑いながらそう言う。 「そしたら、全部シャットアウトしてやれたのに」 僕の頭に手を伸ばすと、髪と髪の間に指を滑らせた。 もう、すっかりこうされる事に抵抗もなく、その後に続く事だってすんなり受け入れられる。 「哲ちゃん」 「お前ね、ちょっとは抵抗しろょ」 そんな風に軽く否定を促しながらも、哲ちゃんだって止めようとはしないじゃない。 タバコの味がするようになった、哲ちゃんとのキス。 哲ちゃんは今でもサッカー?フットサルだっけ?まぁ、スポーツマンでタバコなんて大の嫌い、だったのに ここ最近のキスは、ずっとタバコの味がする。 「まぁ、もう、お前にぶち込みたいとは思わなくなったけど」 「……そうなんだ」 「別のところで発散してる」 「……うん、なんとなく知ってる」 「そうか」
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