最終章

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思い思いに時間を楽しむ人たちに紛れて歩いていく。 何度もいうようだけど、ここからの絶景はほんとにおススメだ。 真っ青な空の青さにくっきりと浮かぶブリッジの赤がとにかくカッコよくて。 うん、サンフランシスコならでは、っていうのかな。 太平洋の波は日毎に違う。 うねりの大きな日もあれば今日のように小波の日もあって来る人を飽きさせない。 このビーチの北側はヌーディストビーチ。 僕も最初こそは驚いたが、それも今では当たり前になっていた。 「あれ……」 ビーチの一角に、フワフワの天使がいてこっちを見て手を振る。 「どうして?」 僕は先生に駆け寄って 先生の腕をくい、と引っ張った。 さっき出て行った時とは出で立ちはちがうけど あれはどう見ても、キララだからだ。 ピンク色のフワフワのドレスは幾重にも重なり 彼女が動くたびに空気を柔らかく掻き混ぜてバウンドする。 「先生、キララがなんでいるんですか」 キララがいるっていうことは、勿論その保護者だって傍にいる。 「いじゅみー」 キララの高い音が僕を和やかにさせるものの、ここにつれて来られたことや、キララたちがいる意味がさっぱり理解出来ないでいた。
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