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人が増えたということは、何かしらの行動を起こすのかもしれない。
どちらにせよ相手が分からない以上、下手に手出しは出来ない。
せめて相手の人数と位置を知りたい。
やっぱりアレを使うしかない、か。
「... ... ... ... 冬瑠、すまないが... 」
「分かってます。僕の能力が必要、なんですよね?」
やはり俺の態度で分かっていたようだ。
先程とは打って変わり、真剣な眼差しでこちらを見つめてくる。
「ああ。お前が消耗するのは十分承知している。しかし... 」
「大丈夫です!僕はお兄様の役に立ちたいんです!」
「冬瑠... ... 」
俺は正直迷っていた。
本当は冬瑠にあの能力を使わせたくない。
お前を苦しめると分かっているから。
だがお前に危害が及ぶのはもっと避けたい。
「よし... ... 。お前に任せる」
「了解です。... ... じゃあ、やります」
「頼む」
俺はせめてと思い、冬瑠の手をぎゅっと握りしめた。
冬瑠も安心したように握り返してくる。
そして瞼がゆっくりと閉じられ、
「『フォーカス・イアー』」
能力が発動された。
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