第二章

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冬瑠は普通の人間にはありえない特殊な能力を持っていた。 超能力といっても過言ではない。 精神集中によって、一定時間五感のうち一つを通常では考えられないほど発達させることができる。 今回の場合は『聴覚』。 今冬瑠は自分を軸とした周辺の全ての音を聞き分け、処理している。 音の大きさや音の聞こえる方向によって、発信源の正確な座標を知ることができるのだ。 これも俺が冬瑠に固執できる理由の一つかもしれない。 似たようなものという仲間意識が無性に芽生えてくる。 いや、俺と冬瑠を一纏めにするのは冬瑠に失礼か。 と、 先程までのピリピリとした空気が一気に緩和された。 冬瑠の能力継続が切れたのだ。 「は... ... ... っ... 」 「冬瑠!」 刹那、冬瑠は膝からカクンと崩れ落ちた。 地面に着く前になんとか支える。 だから力を使わせたくなかったのだ。 ほんの数分の間に冬瑠の脳はフル回転して情報処理をしているのだ。 疲弊しないわけがない。 「大丈夫か!?」 「はい... それより... ... ... 。後方50mの電柱の影に一人、そのすぐ手前の十根商店の看板の影に二人、です... 。いずれも背の高い男性かと... ... 」 「わかった。... 本当にすまない。無理をさせてしまって」 「いえ、僕が望んだことですから... 」
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