第二章

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えへへと笑う冬瑠の顔は青白い。 早く家に帰って休ませなければならない。 しかしそのためにも、早いうちに芽を摘みとっておかなければ。 「冬瑠、もうちょっとだけ頑張れるか?」 「はい、なんとか... ... 」 「よし... 。今日はちょうどお前が家の鍵を持っていたな。今から俺が合図する。 そうしたらお前は家に向かって走れ」 「えっ... でも、お兄様は... ... ... ?」 「俺は逃げるフリだけだ。俺達が急に走り出せば奴らは勘づかれたと思って慌てて飛び出してくるだろう。そこを、叩く」 「それじゃあお兄様が... ... ... 」 「大丈夫だ。というより、こうしてもう五分は軽く立ち止まっているんだ。さすがに怪しまれている。相手が分からない以上、先に動かれるほうが余程面倒だ。」 「それは、そうですけど... 」 「心配するな。知っているだろ。俺は... ... ... 異常だから」 少々自虐的な言い回しになってしまった。 だが、これは否定できない事実だ。
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