第二章

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俺が生まれた年に起こった最初の『厄災』、『神ノ森の厄災』は死者1万人、負傷者7万人を越える大災害となった。 しかし原因は今だ謎らしい。地震や津波、ましては人為的なものでは一切ない。 災害の中心である神ノ森市はほぼ全壊。今現在でも調査のために報道規制され、もはや『市』丸ごと消えたと言っても過言ではない状態だ。 それ以降低確率かつ被害は格段に抑えられているが、日本全国で『厄災』が起き始め、今日(コンニチ)もその状況は変わらない。 「そう。何の前触れもなく突如建物が崩れ始め、地震でもないのに地響きがする。だがこれは決して自然現象ではない。我々はその真実を知っている。」 「真実?その真実と冬瑠とは何の関係があると言うのだ」 「あまり驚かないんだな... 。が、それ以上は言えない。あれだったら俺を拷問でもしてみるか?ま、無駄だと思うがな」 ふふふと男は不適な笑みを浮かべる。 『厄災』の真実が分からない限り、冬瑠との関連性も明らかにならない。 しかし、悔しいがこいつは絶対に口を割らない。つまりはそういう奴なのだ。 「ま、お前の気が変わらないうちに今日は帰らせてもらう」 「... 返さないと言ったら?」 「お前はそんなことは言わない。そうだろう?天音空夜」 「... ... ... ... ... ... 」 初めて名前を呼ばれた上に、何もかもを見透かしたような口振りは非常に腹が立つ。
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