第三章

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「あ、はい。何か御用でしょうか」 とっさに口調を敬語口調にする。 何度かチラチラ見られる時はあったが、直接話しかけられるとは思ってもみなかった。 なにせここは隣同士と言えども県外。 俺のことを知っている奴などいないものと思い込んでしまっていた。 ... 厄介だな。 「えっと、『白の王子様』ですよね」 「確かにそう呼ばれてはいますが」 「やっぱり!」 目をキラキラさせてこちらを見つめてくる。 どうやらさっきの独り言は聞こえてなかったらしい。 そこだけはホッとしたのもつかの間、 「私は隣の高校なんですけどぉ、友達からあなたの話を聞いて... ... 。こっちでも噂になってるんですよ!眼鏡って聞いてたんで違うかなって思ったけど、まさか本当に会えるなんて嬉しいですぅ!」 急にキャピキャピと語り始めた。 対称的に俺は心の中で舌打ちをする。面倒くさい奴に絡まれたものだ。 たぶんこいつは俺に気があるのだろう。 だが俺はこういうタイプが一番苦手だ。俺のことをよく知りもしないくせに。 「そうですか。... で、何か御用ですか」 「へっ?」 「だから、用があるから私に話しかけてきたのでしょう?」
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