第三章

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「貴方は私の肩書きが欲しいだけなのでしょう。ただ自己満足に陥りたいだけ。 ... ... ああ、失礼。少々言い過ぎましたか?」 クスクスと嘲笑う俺を前に、みるみるうちに顔を真っ赤にしていく。 気付けば、自然と袖から手は離れていた。 全くいい気味だ。 俺の内面を覆う壁はどこまでも高いと言うのに。 踏み込もうとするほうが悪い。 「ちょ、ちょっと顔がいいからって、調子に乗らないでよね!」 「貴方こそ。私の名前すら知らないくせに媚を売らないでいただきたい。まあ、もう二度と会うことは無いでしょうが」 「くっ... ... ... !もういい!!」 とっくに猫被りがとれた態度で俺を一睨みすると、ブツブツ文句を垂らしながら足早に去っていった。 「... ただ自己満足に陥りたいだけ、か」 完全に姿が見えなくなると、己が投げかけた言葉を反復する。 俺は俺という存在が最も嫌いだ。 だからこうやって、表面的に装って真意を隠している。 俺の醜い部分も一緒に。 そのことにどこか安堵してしまうのだ。 これもある種の自己満足だと言うのに、 「最低だな、俺は... 」 人のことを言えた義理ではないのは百も承知だ。
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