第三章

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むしろ、行動に移す彼女のほうがよっぽど人間らしく貪欲だ。 俺は心まで... ... 。 「... ... ... ... 」 ここで考えることを止めた。 最初から分かりきっていたことだ。俺はそれを受け入れたはずなのだ。 だから、もういい。 ゆっくりと文房具が並ぶ壁を突き進む。 早く冬瑠の元へ行こう。 そうすれば。 俺は傷つかない。 「ありがとうこざいましたー」 店員の抑揚の無い声を背に文房具コーナーを出る。 ゲーム売場はたしかこの先を右に曲がるんだったな。 脳内に思い浮かべた地図通り右折しようとした瞬間、 「キャァァァァアアアアアア!」 「な、なによ... これ... ...? 」 猛烈な破壊音が轟いた。 その衝撃でまるで巨大なダンプカーにでもぶつけられたように建物全体が震動する。 人々の悲鳴が不協和音を奏でる。 おまけに天井からはこのデパートの一部と思われる破片が降ってくる始末だ。 「くそっ、何なんだ... ... 」 俺の思考はまだ追いついていない。 もうさっきのことなど頭から消えている。 当たり前だが辺りはもうパニック状態だ。 次々と降り注ぐ破壊音の中、周りの客達は出口へとなりふり構わず突進して行く。
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