第三章

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もはや暴動に近い状況へと化していた。 日本人らしく壮観なほど整頓されていた商品は床に散乱し、これよと言わんばかりに無様に踏みつけられる。 誰もが自分のことしか頭にない。 理性を失った人間達は野獣のようだ。 そんな中俺はと言えば、人々の怒濤(ドトウ)の波を一人逆流していた。 俺の最優先事項。 先に冬瑠と合流しなければならない。 ゲーム売場は一番近い出口のほぼ反対側にあるのだ。 と、 「く... ... ... っ」 今までで最大の爆発音が鳴り響いた。 それもそのはず、天井にはぽっかりと巨大な穴が空き、建物内で拝めるはずの無い空が高々と見えている。 誰もがそのあり得ない光景に息を呑んだ。 そしてその刹那の間を縫ってこだましたのだ。 偶然か、必然か。 これは俺の運命の輪が回り始める合図。 人生が狂い出す一声。 「到頭この街にも『厄災』が来たんだぁぁぁぁぁっ!!」 つかの間の静寂の最中(サナカ)、力の限り悲鳴の如く叫ばれたそれは人々に更なる恐怖感を与えたのは言うまでもなかった。
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