第三章

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しかも例の男達の件からわずかに数日。 つくづく悪い予感は当たるものだ。 このタイミングに何か意味があるのだろうか。 いや、今はそんなことを考えている場合ではない。 「先に俺達もここを出るぞ」 「はい。でも... ... 簡単には出られなさそうですね」 「そう、だな」 冬瑠の言いたいことは分かる。 おそらく他のどの出口も人が詰まっているのだ。 平日ならばもっとスムーズに流れたかもしれないが。 だが少しずつ崩壊が大きくなってきているからには、このまま待つ訳にはいかない。 「どうするか... 」 ふと天井を見上げると、俺達の丁度真上部分にも歪な形の穴が空いており、日射しが注いでいた。 ... しょうがない。 俺は握っていたシャーペンの入った小さな紙袋を背に回し、財布を入れている場所と同じ後ろのポケットに突っ込んだ。 「... ... 冬瑠、しっかり掴まってろ」 「えっ?... ... わっ、わぁ... !」 俺は冬瑠を片手で軽々と抱き上げる。 「ま、まさか... ... ... 」 「ああ。行くぞっ」
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