28人が本棚に入れています
本棚に追加
しかも例の男達の件からわずかに数日。
つくづく悪い予感は当たるものだ。
このタイミングに何か意味があるのだろうか。
いや、今はそんなことを考えている場合ではない。
「先に俺達もここを出るぞ」
「はい。でも... ... 簡単には出られなさそうですね」
「そう、だな」
冬瑠の言いたいことは分かる。
おそらく他のどの出口も人が詰まっているのだ。
平日ならばもっとスムーズに流れたかもしれないが。
だが少しずつ崩壊が大きくなってきているからには、このまま待つ訳にはいかない。
「どうするか... 」
ふと天井を見上げると、俺達の丁度真上部分にも歪な形の穴が空いており、日射しが注いでいた。
... しょうがない。
俺は握っていたシャーペンの入った小さな紙袋を背に回し、財布を入れている場所と同じ後ろのポケットに突っ込んだ。
「... ... 冬瑠、しっかり掴まってろ」
「えっ?... ... わっ、わぁ... !」
俺は冬瑠を片手で軽々と抱き上げる。
「ま、まさか... ... ... 」
「ああ。行くぞっ」
最初のコメントを投稿しよう!