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「空夜君、弁当一緒に食べない?」
「ええー、ダメよ!今日は私達と一緒なんだから!」
「何言ってんの?うちらが最初に誘ったんだから、うちらに決まってるじゃない!」
それは、もはや日常になりつつあった。
昼放課のチャイムと同時に、俺の席の周りには弁当を持った女子が群がる。
本当、うざったい。
俺、天音空夜(アマネソラヤ)は心の中で軽く舌打ちをするも、顔には笑顔が張り付いていた。
「申し訳ありませんが、今日は先客がおりますので」
「えー、つまんなーい」
「もしかして彼女!?」
「嘘っ!とうとう彼女できちゃったの?誰、誰?」
「残念ながら、男の方ですよ」
クスリと笑えば黄色い悲鳴が上がり、俺の机を囲っていた女子達の顔が、一様に赤くなる。
「じゃあ、また今度... ... 」
「ええ、ぜひ」
おもむろに席を立つと、自然と女子達の間に道ができた。
「では、約束がありますので」
そう言って、未だ顔の火照りが抜けず、静止したままの彼女達を余所にその場から離れる。
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