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お前は俺とは違う。お前には明るい未来がある。
こんなところで潰すなど言語道断だ。
「さて... 」
冬瑠が逃げたのを確認し、俺は再び『怪物』のほうを向き直す。
巨体はすぐ目の前に迫っていた。
まじまじと目の当たりにすると、やはりとてつもなく恐ろしい。
と、
「グアアアアアアァァァァァァァァァァッ!!」
突如低い唸り声を上げたかと思えば、目を光らせ俺に向かって巨大な鎌ともいえる腕部分を振り下ろす。
どうやら俺の存在を認識したらしい。
もちろん排除対象として、だが。
さあ、理不尽な戦闘開始だ。
「はっ... ... ... ... ! 」
最初の一撃をなるべく後方へ跳んでかわす。
酷く砂ぼこりが立ち、大地を引き裂くような爪痕が刻まれた。
「当たったら一発アウトだな」
いくら俺が『化け物』だからと言っても、ただ運動神経が異常なだけでは鋼鉄の鎧を纏うアレに勝てるはずがない。
俺は詰まる所、冬瑠のための時間稼ぎが出来れば良いのだ。
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