まあ冬ですから

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 くつくつと、お粥の煮立つ音がしてきた。  なんか夢みたいだ、と目をとじる。 「起きた?」  お盆に乗せた茶碗に、お粥をよそっている。少しの間、眠っていたらしい。 「……うん」  レンゲに掬って、ふーふーしている。  食べさせられてたまるか、と上半身を起こす。 「こんな時まで意地はらないで、横になっててよ」 「いい、自分で食べる」  ため息をついて、将志が脱いでいた学校指定のコートを肩にかけてくれる。  教壇から見ているものが背中にある。 「先生が風邪で休みだって学校で聞いて、心配でたまらなかったんだからな!」 「……まさか早退……してないよな?」 「あなたが怒るのわかってることはしないです」 「私の代わり……だれ先生?」 「教頭先生だったよ。前のプリント配って、あとは自習だった」 「あー……、迷惑かけちゃったな」
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