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顔の高さを揃え、そっと重ねられた唇の中から、飴が渡された。
瞬間、ほんのかすかに将志の舌先が触れた。
予想もしなかった事態に、うろたえて口元をおさえる。
「あれ、新鮮な反応」
くすくすと、和やかな空気に変えるように笑っている。
「そ、そんなことするとは思ってなかった……」
口の中に、レモンの味がしている。
「返さなくていいよ」
「……うん」
どうしよう、これ。
甘酸っぱい。
ジャッ、と飯を炒めはじめる音がする。
「ケチャップ、醤油、塩胡椒、バター、どれにする?」
味付けを選ばせてくれるらしい。
「……醤油」
「やっぱ和風好きなんだ」
「うん、好き」
ジャッ、が止まった。
「……今の、もう一回言って」
「醤油」
「じゃなくて」
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