約束の甘さを

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「好き」 「うん……俺も」 「食べやすさがいいよね、ご飯とのバランスと、手軽に作れるところも」 「……チャーハンですか」 「他になにが?」 「え、いや……別に」  かわいい。 「好きだよ」 「……チャーハンですよね、俺じゃなくて!」  ヤケクソに言い放った。  からかいすぎたかな、とお皿を並べる。 「好きだよ、将志」  ガッタン、とフライパンの底がコンロに激突していた。 「ちょ……!!」 「危ないなあ、料理人」 「危ないのはあなたです!」 「何もしてないよ、失礼な」  それで完成? と訊いてからフライパンを奪い、お皿に盛っていく。  うー、と台所の流しに両手をついて唸っている。 「冷めないうちに食べようよ」  なぜか顔を洗いだした。  やけどでもしたんだろうか。
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