きもだめし

18/20
前へ
/101ページ
次へ
 帰りのお土産屋ショッピングで、浦上将志と目が合う。  お互いに、お互いを気にしているせいだろう。 「……村橋先生」 「楽しんでるかー」 「矢田先生にずいぶん懐かれてましたけど、昨日の夜、何かあったんですか」 「若いし、人懐っこいんだよ、矢田先生」 「……心配だし」 「私には君が眠れないほうが心配ですよ」 「あなたがいたら眠れるんだから。別に、俺はそんなに困ってないよ」  小声で言った。  それは、どうなんだろう。私がいなくなることは、ないみたいな。 「また、眠りにおいで」  え、とまともに見つめてきた。  その額にデコピンをかまし、去ってみる。  まだ、それから何度でも目が合うのだけど。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

137人が本棚に入れています
本棚に追加