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「冷えてる……。俺のために……買い置きしてくれてた……?」
「子供は酒のんで寝るみたいなことはできないからな、もしや効果があるかもと思ってね」
「……俺には、あなたがいたらいいよ」
「毎晩は一緒に寝れないだろ。私がいない時でも眠れるようにしてやろうという」
「だって俺……、あなたと暮らす……から」
「勝手に決め……」
将志の上体が傾いだ。
肩によりかかり、それから無許可に私の膝を枕にした。
「……おい」
もう、すーすーと寝息をたてている。
めちゃくちゃ寝つきがいいじゃないか。
「私がいないと眠れないとか冗談だろ」
もし、卒業後も付き合ってくれるのだとしたら。
私がいたらすぐに寝てしまうようでは、ちょっと困るかもしれない。
「……地味に重い」
膝と座布団をそーっと入れかえる。
「これじゃ、夜の生活ができませんよ、将志くん」
すーすー寝ている。
やわらかな髪を、そっとなでて。
「……ガキが」
悪態をつき、薄く開いた唇にふれる。
それでも起きない将志の額にもキスをして、やれやれ、と布団を引きずってきてかけてやる。
寝顔が見える位置にちゃぶ台を移動させ、缶ビールを掲げる。
スルメイカに、手をのばした。
―おわり―
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