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向かい合わせに座り、いただきます、と手をあわせる。
将志が、やけにニヤついている。
「なんかいいよね……作ったものを好きな人に食べてもらえるっていうの」
逆襲か、と動揺しないようにスプーンを握りしめる。
「……そう」
「俺、家に人がいることって少ないから。慣れてはいるけど……たまに寂しくなるよ」
そばにいてやりたくなるじゃないか。
「自分で家族を作って、大事にすればいい」
「……うん。でも俺、自分がこんなだから、子供に寂しい思いはさせたくないから、いらない。でも相手が女の子だと、それを考えてあげなきゃだし。悩むから、苦手かも」
「そう」
「だからって男が好きってわけでもないからな。男子の着替えとか見ても何とも思わないし。でも俺……、先生だけは違ってて」
「いや……、いい。皆まで言うな」
「保護者みたいな存在に甘えたいんだろうなって、最初は俺も思って否定してきたんだけど」
「……いいって、言わなくて」
そのくだりだと、続くのは告白しかあり得ない。
「先生……、俺……どう思う?」
逆かよ、と思う。
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