約束の裏事情5

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 タケル、タケル、と叫ぶように呼び続ける声に、重いまぶたをあげた。 「タケル!」 「……マサシ王子?」  ここは……? と思う。白く、美しい砂浜が目に入る。 「タケルは俺を助けて、気を失ってたんだ。……よかった」  必死に海図を思い出す。あの海域に、こんな島があっただろうか。 「すみません、王子」 「なに謝ってるんだよ、助かったんだぞ、俺たち!」  命は助かったが、水も食糧もないのに、まだ本当の意味で助かったとは言えない。  動けるだろうか、と起きあがる。たどり着いた場所をよく見ると、歩いて一周できそうなくらい小さな島だ。  助けを呼ぼうにも、こんな環境に人が住んでいるはずはない。  王子は無邪気に喜んでいるが、服も髪もずぶ濡れのままだ。 「マサシ王子、濡れた服を乾かさないと体温を奪われます。あと、日が暮れるまでに飲み水と」 「聞かせてくれ、タケル。俺ではダメか?」  こんな時に、という苛立ちを抑える。 「……飲み水と食糧と、寝床を確保します」 「答えろよ」
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