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「いや、好きですけど?」
「そっか……」
てへ、と笑ってチャーハンを掻き込んでいる。
女の子が苦手だから男に逃げ場を求めたのではなく、男なら誰でもいいわけでも、ない。
それがなんで私なのかは、たぶん将志にもわからないだろうから訊かないけど。
誠実だよな……、と思う。
外見も内面も性別も、どうでもいいとさえ思える。
「和歌ってさ、本当に言いたいことをわざと抜いて風景を描いたりするよね」
「は?」
「すっとぼけて。でも、伝えるんだ、好きだって意味を」
「……はい?」
「悟らせる、ってほうが近いかな? そういう力があるじゃん、日本語って」
「ああ……、はい」
「少し話せば、それを理解して使ってるかどうかがわかる。同志を見つけたみたいな気分になる。退屈? こんな話」
「いえ、勉強になります」
「国語科だけ無駄に成績上げないでよ?」
「そりゃ俺の責任じゃないです。あなたの話すことを聞きたいし、知りたいと思ってしまうから」
「だから、それも告白と変わらないって」
「あ……」
暗に、君も理解できる人だねと伝えた。
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