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重圧のあるその言葉に、ユウトは顔を強張らせる。
「今まで代表は私ではなくそれ専門の人達が選出していました。しかし、彼らはキャリアばかりを見ていて、つまらないファイターばかり選出していました。なので今年は私が選出することにしました」
淡々と述べる。その説明にも疑問があった。
「キャリアがあって何が悪いんですか?プロにおいてキャリアは大事だと思いますが…」
「選出担当が選んだファイターだけでなく、最近のプロファイターはキャリアと実力が釣り合っていない人が多々見られます。ですが、君は違います。君はキャリアと実力が釣り合っていますからね…」
沈黙が走る。
「…他の二人は…」
「それは…」
と、言いかけたところで、机の電話が鳴る。
シモンが受話器を取ると、
「通してください」
一言そう言った。
そして受話器を切ると、
「失礼しまーす!」
勢いよくドアが開いた。
そこにいたのは少女だった。
少女の特徴はとにかく赤い髪。そして、それに合わせるように瞳も赤い。
体は小さく、高校一年生であるヒカリよりも年下かと思われる。
そんな少女が勢いよくドアを開いたなり、ユウトに指差した。
「あ!あんたテレビで見たことあるよ!んー、と、誰だったかなー…」
指先で頭を叩き、考える素振りを見せた。
「思い出した!確かせんどーゆーととかいう人だ!」
「…君は…」
「ボク?ボクはね、神谷コトネ!今年のWVCの日本代表に選ばれたの!」
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