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「それで、妹の彼氏が同級生、しかもそれが知り合いってどういう心境なのかな?お姉ちゃん」
悪戯めいた笑みを浮かべて、堂本ナツキはミキに訊く。
ナツキはミキの幼馴染みで、唯一の親友。天真爛漫な性格の持ち主だが、やるときは中々に頭がキレる。
だが、今回は前者が出ている。
「別に…」
対してミキは素っ気なく答える。明木ミキという少女は元はナツキのように明るい性格だったが、妹のヒカリの失明をきっかけに冷徹な性格となっていた。
今はユウトや仲間のおかげで性格は飽和しているが、素っ気ない答えはどちらの性格でも同じだっただろう。
「まっ、ミキがそう言うのはわかってたけどね」
と、コーヒーを啜る。
「まさか、こんなことを訊くためにわざわざ喫茶店に呼んだわけじゃないだろうね…」
「まあ、それもあるんだけどさ。それより訊きたいことがあるんだよね」
ヘラヘラした表情から一変、真面目な表情になる。
「…ミキさ、この二年間、どこにいたの?」
「…、」
やはり、とミキは思った。
ミキは二年前から行方不明になっていた。
ミキはその二年間リンクジョーカー、そして『力』のことを知るために平行世界(パラレルワールド)へと行っていた。
平行世界へ案内してくれた張本人、もとい平行世界の警察部隊隊長であるα(アルファー)に、平行世界の存在を知る人物は最小限に留めたい、と言われ、誰にも言わずに平行世界へと行っていた。
だから行方不明となっていたのだ。
「…あなたに教えるわけにはいかない」
「…だろうね。けど…」
ナツキのコーヒーカップを持つ手が震え、そして、力強くカップを置くとともに椅子から立ち上がった。
「幼馴染みであるアタシには教えてくれてもいいんじゃない!?何?そんなに言えないことなの?言ってくれれば力になれたかもしれないのに!!」
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