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実咲の初仕事
そして、指折り数えて迎えた月曜日。
私はいつものように出社してメンバー達への朝茶を配り終えた所で、ボスの執務室へ呼ばれた。
――トン、トン。
「米倉です」
「あぁ、入ってくれ」
「――お呼びですか?」
「――これが、何だか分かるか?」
そう言ったボスの手には1枚の名刺サイズのカードが持たれていた。
「……ショップ、カード、ですよね?」
「そうだ――アクエリアスのな。デザインを一新したいという依頼が来たんだが、担当の冬木は今秋冬物のカタログ制作で忙しい……お前、やってみるか?」
「えっ――い、いいんですかぁ?!」
「お前の初仕事としてはちょうどいい題材だろう」
「頑張りますぅ」
やったぁ☆私の仕事第1号だよ~。
と、見本のショップカードを手にして初仕事の感動にうち震える私を見て、ボスは苦笑いを浮かべつつ言った。
「この1ヶ月、お前なりに努力してきたものな。ただ与えられた仕事をこなすだけでなく、少しでもメンバー達が心地よく仕事出来るように工夫してた」
ボスぅ……私の事、ちゃんと見ててくれたんだぁ、気にかけてくれてたんだぁ……。
「ま、誰もお前に満点は望んじゃいない。課題だと思ってやってみろ。小さくまとまらずにな」
「――はい」
それからオフィスの自分の席へ戻った私は、早速もらったばかりの仕事にとりかかった。
シンプルな物ほど難しい。
ロゴの大きさ・色・その位置、書体は? 級数は?
それだけでも可能性は無限大。
その中で私なりのベストへ近付く為には――――。
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